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名入れの漢詩

 『名入れの漢詩』をご存知だろうか。日本と中国は「一衣帯水」の隣国で、文化、経済の友好交流が永きにわたって続いてきた。漢詩は世界に誇る中国文学の精華であり、日本人の心を感動させ影響を与えて来た。 漢詩は、限られた字数の中に、自然、社会情勢、心情、志など人生のあらゆる事象を凝縮させている。そこに、人の名を折り込むと、更なる新しい世界に飛躍する。無尽蔵の歴史と名を付けた人の願望が宿っているからである。 古くからこのような言い伝えがあり、運気の上昇を願う人々は名入れの漢詩の創作を詩人に依頼し、書家にそれを揮毫してもらい掲額することがいつしかならいとなっていた。 以下筆者が作詩したものに、自ら筆を揮った作品を掲載する。人や会社の名前に潜在している隆盛の運を引き出すために、本格的で、格調高い『名入れの漢詩』を目指したつもりである。拙い墨筆漢詩乍ら、気分転換にお読みあれ。
(著作集 第二巻 p.372〜)
名入れの漢詩
名入れの漢詩

人名 徳川家康

望(人望)
川長山崇(川の如く長く山の如く高し、長く名声の伝わりゆくことの喩)
家世(代々続く家系)
興旺(大いに栄えること)
康阜(康らかで豊かなこと)
傑雄(勝れた英雄)

(口語訳)

徳 高く 人望集まり
川のように長く山のように高く 名声伝わり
代々続く家系は 繁栄を手中にし
康らかで豊かな英雄 出づる

名入れの漢詩
名入れの漢詩

人名 小出康夫

泰斗(泰山と北斗星:人の仰ぐ対象から、学問の権威の意)
出類(ひときわ抜きん出ること)
全球(全世界)
康阜(やすらかにして豊かなこと)
交誼(友情)

(口語訳)

小さき山は 泰山や北斗星のごとく高き学問の権威を仰ぎ
ひときわ抜きんでし誉 世界中に
康らかにして豊かな人 多くの友情に恵まれ
その心 酬われる

名入れの漢詩
名入れの漢詩

人名 末石健二

春暄(春の暖かさ)
二儀(天と地)
貴門(貴き一門)

(口語訳)

本固ければ、末栄え、高き樹となり、茂っている
石も高く聳えるほど、春の日差しの暖かさの
恵みをほしいままにし
泰山のごとく健康にして、長寿も享け
広く天と地に 一門の名声を揚げる

名入れの漢詩
名入れの漢詩

人名 水口敬伸

玉言(立派な意見)
敬天(天命に従う)
英傑(優れた人物)
権門(権勢の一門)

(口語訳)

水は、千年の長き世をうるおし
人は口の中に 素晴らしい言葉を宿す
天を敬い天命に従い 優れた人物出でて
志遂げ、権勢の一門を栄さす

名入れの漢詩
名入れの漢詩

キーワード 横川砂和子祝寿福

横心(心を決めること)
傲(負けないこと)

(口語訳)

善き事を成すことを 心に決めれば
川の水の如く 故郷を潤さん
砂の中のきらめく光や
そよ風は 津々浦々を 爽やかにせん
きみの思いは 雨や嵐にも 頑として屈せず
祝いの宴は 花の香に むせかえるばかり
その長寿は 南山の柏のごとく
その福は 東海の海原のごとし

名入れの漢詩
名入れの漢詩

キーワード 牛窓汐町

(口語訳)

牛 転(まろ)び 航海 安らかとなり
窓は 天地のめぐみを 受け
汐騒は 歴史を 伝えきて
町の景色は 古の風格を 残す

牛転 伝説

 牛窓の海には怪物の塵輪鬼(ちんりんき)が棲んでいて、通りかかった王さまの船を転覆させようとした。王さまが何度か矢を射ると、怪物は体がばらばらになり、首が黄島に、胴が前島、尾が青島になった。
 また、その後、お妃が通りかかったとき、こんどは、塵輪鬼の魂が姿を変えた牛鬼が現れ、住吉明神の化身が投げ倒した。牛鬼が転んだことから、この地を牛転び、牛転、牛窓と呼ぶようになった。この怪物の体が、黒島、はらわたが百尋岨(ももひろそわえ)になったといわれている。
 これが、牛窓の地名の由来である。

名入れの漢詩
名入れの漢詩

キーワード 開運招福

開雲(雲間に光明が現れる:希望がもてるようになることの喩え)
運祚(世の巡り合わせ、世運) 
春暄(春の暖かさ)
福釐(幸福)

(口語訳)

光明現れ希望とともに 朝日を迎え
世の運 春の暖かさを もたらす
宴に招き 喜びを 分かち合い
幸福に恵まれ 人は恩に感謝す